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遺産分割調停中にやってはいけないこと|取るべき対応とは

2023年03月28日
  • 遺産分割協議
  • 遺産分割調停中
  • やってはいけないこと
遺産分割調停中にやってはいけないこと|取るべき対応とは

裁判所が公表している司法統計によると、令和3年に静岡家庭裁判所に申し立てのあった遺産分割調停の件数は、377件でした。

被相続人の遺産は、遺産の分け方をはっきり決めた遺言書がない場合には、相続人による遺産分割協議によって分けることになります。しかし、遺産分割協議では、各相続人の意見や利害の対立が生じて、相続人同士の話し合いでは合意に至らないこともあります。そのような場合には、家庭裁判所に遺産分割調停の申し立てを行い、調停での解決を図るという手があります。

本コラムでは、遺産分割調停中にやってはいけないことや取るべき対応について、ベリーベスト法律事務所 沼津オフィスの弁護士が解説します。

1、遺産分割調停はどのような手続き?

まず、遺産分割調停の概要とその流れについて説明します。

  1. (1)遺産分割調停とは

    遺産分割調停とは、家庭裁判所の裁判官と調停委員が当事者の間に入り、中立公正な立場から当事者らの話を聞き、当事者らの利益の調整をしながら解決案を提案したり、助言をしたりするなどによって、遺産分割に関する争いの解決を目指す手続きです

    被相続人の遺産は、まずは、相続人全員による遺産分割協議によって分割方法などを決めていくことになります。
    しかし、相続人による話し合いでは、お互いの意見が衝突するなど対立が生じてしまうと、話し合いによる解決が難しくなることがあります。このように相続人による遺産分割協議での解決が難しい場合には、遺産分割調停を利用することができます。

    ただし、調停はあくまで裁判所を挟んだ話し合いにより、相続人同士の合意を目指す手続ですから、全く話し合いに応じるつもりがない相続人がいる場合など、向かない場合があるということにもご注意ください。

  2. (2)遺産分割調停の流れ

    遺産分割調停は、以下のような流れで進みます。

    ① 遺産分割調停の申し立て
    相続人(遺産分割調停は、遺言によって財産を包括的に遺贈を受ける者や相続分の譲受を受けた者も申し立てられます)による遺産分割協議では合意に至らない場合には、家庭裁判所に遺産分割調停の申し立てを行います。
    遺産分割調停は、遺産協議と同じように、すべての相続人が当事者として参加する必要があります。そこで、相続人のうちの一人もしくは数人が、その他全員の相続人らを相手方として、申し立てます。
    なお、調停では、申し立てしたものを申立人、申し立てられた側のものを相手方と言います。

    ② 裁判所から申立書類・期日通知書の送付
    遺産分割調停が受理された後は、調停期日が指定されて、相手方に対して、申立書類一式と期日通知書が送られます。

    ③ 調停期日
    申立人および相手方は、指定された調停期日に裁判所に集まり、調停を行います。
    申立人と相手方の待合室は、別々に用意されており、調停室への入室も別々に行います。そのため、基本的に、家庭裁判所では当事者同士が顔を合わせて話し合いをすることはありません。
    当事者の間に調停委員が入ることにより、当事者同士だけで話し合いを進めるよりも、話し合いがまとまることを期待しやすくなります

    遺産分割調停では、主に以下のような流れに沿って事実関係の確認を行っていきます。

    • 遺言の有無の確認
    • 相続人の範囲の確認
    • 相続財産の範囲の確認
    • 相続財産の評価の確認
    • 各相続人の取得額の確認(特別受益や寄与分の有無など)
      ※特別受益:特定の相続人が被相続人から特別な財産を譲受していた場合、その利益のことを特別受益という。特別受益を受けている相続人は、通常、他の相続人よりも相続分が減らされる。
      ※寄与分:特定の相続人が被相続人のために特別な行為をすることで、被相続人の財産を増やした場合(減らさなかった場合)、その分の財産を寄与分という。寄与分のある相続人は、通常、他の相続人よりも相続分が増やされる。
    • 遺産分割方法の確認


    争いの複数あるような事案では、1回の調停期日ですべて解決することはできないため、複数回の調停期日を重ねることになります。
    その場合は、1~2カ月に1回のペースで調停期日が行われます。

    ④ 調停成立または不成立
    調停期日で話し合いを重ねることによって、遺産分割に関して相続人全員が合意した場合には、調停成立となります。
    調停が成立した場合には、その内容が調停調書にまとめられるため、その後は合意内容にしたがって遺産分割手続きを進めていきます。

    他方で、相続人全員の合意が得られない場合には、遺産分割調停は不成立となって終了します

    ⑤ 遺産分割審判
    遺産分割調停が不成立になった場合には、原則として、自動的に遺産分割審判の手続きに移行します。
    審判では、裁判官が、調停での経過や当事者からの主張や立証をふまえながら、適切と判断される遺産分割方法を決定します。
    つまり、審判の場合、当事者の合意が得られなくても、裁判所が決定を出します

2、遺産分割調停でやってはいけないこととは

遺産分割調停中にやってはいけないこととしては、以下のような行為があります。

  1. (1)無断で遅刻・欠席する

    遺産分割調停は、審判や訴訟とは異なり、調停期日を欠席したとしても、不利な判断が勝手に下されるということはありません。
    しかし、調停に欠席すると自分の意見を伝える機会を失われてしまい、有利な事情があったとしてもそれを斟酌(しんしゃく)してもらうことができなくなってしまいます
    特別受益や寄与分など、主張をしたい事実がある場合には、きちんと調停期日に出席して、裁判官や調停委員に伝えるようにしましょう。

  2. (2)うそをついたり事実を誇張したりする

    遺産分割調停では、自分に有利な内容の遺産分割を行いたいという理由からうそや事実の誇張をしてしまう方もおられますが、そのような行為は避けるべきです。

    うそや事実の誇張をしていたということは、調停が進行していくうちに、客観的な資料が提出されるなどにより発覚してしまう可能性が高いです。
    そして、うそや事実の誇張をしていたことが明らかになれば、調停委員からの信頼を失うだけでなく、その後の審判においても不利な事情として考慮されてしまうおそれがあります

  3. (3)不誠実、感情的な対応をする

    調停委員は、公正中立な立場で紛争の解決にあたることになりますが、もし調停の当事者から不誠実な対応や感情的な対応をされると、調停委員も気分を害してしまうおそれがあります。

    調停委員の気分を害してしまうと「相手を説得してあげよう」というモチベーションが失われてしまうこともあり、結果として調停で不利な扱いを受ける可能性があるのです

3、調停にやむを得ず出席できない場合の対応

遺産分割調停の当事者であるのに、調停期日に出席することができない場合には、以下のような対応を検討しましょう。

  1. (1)弁護士に依頼する

    遺産分割調停は平日の日中に行われるため、仕事や家庭の都合で調停期日に出席することができない、という方も少なくないでしょう。
    そのような場合には弁護士に依頼をし、本人に代わって調停に出席してもらう方法があります

    なお、司法書士には遺産分割調停の代理権が認められていないため、相続人の代理人として遺産分割調停に出席してもらうことはできません。

  2. (2)期日変更の申し立てをする

    指定された調停期日にどうしても外すことができない予定が入ってしまったという場合には、裁判所に期日変更の申し立てをすることによって、期日を変更してもらうことが可能です。

    ただし、期日の変更が認められるかどうかは裁判所の判断に委ねられるため、期日変更の申し立てをしても、必ず変更が認められるわけではありません。

  3. (3)電話会議やテレビ会議を利用する

    相続人によっては、遺産分割調停が申し立てられた裁判所が遠方の裁判所であるため、毎回調停期日に出席するのが難しいという場合もあります。
    そのような場合には、電話会議システムを利用することによって、調停期日に参加しやすくなります。なお、通常は電話会議で行いますが、テレビ会議を行う場合もあります。
    どちらにせよ、調停が行われる裁判所が遠いため、出席が難しい場合には、裁判所に問い合わせてください。
    この点、弁護士に依頼していれば、スムーズに進みます

    電話会議システムやテレビ会議システムを利用する場合には、最寄りの家庭裁判所に出頭して、その裁判所にある電話会議システムやテレビ会議システムを利用して調停に参加することになります。
    本人確認の必要性という事情から、自宅から電話会議やテレビ会議を行うことはできない点に注意してください。
    なお、弁護士に依頼をしていれば、弁護士の事務所から電話会議システムを利用することができます

  4. (4)相続放棄や相続分の譲渡などを検討する

    相続人のなかには、相続をするつもりがない人や争いに巻き込まれたくないという方もいらっしゃるでしょう。
    そのような場合には、相続放棄や相続分の譲渡などの手続きをすることによって、遺産相続の手続きから離脱することができます。
    積極的に相続を希望していないという方は、これらの手続きを検討してみるとよいでしょう。

4、遺産分割調停を弁護士に依頼するべき理由

以下のような理由から、遺産分割調停は弁護士に依頼をすることをおすすめします。

  1. (1)調停に代理人として出席してもらえる

    弁護士に依頼をすれば、遺産分割調停に代理人として出席してもらうことができます。もちろん、事務的な手続きについても任せられます

    仕事や家庭の都合などで調停に出席することができない場合には、当事者が欠席しても、すべき主張をしてもらえます。また、当事者が調停に出席する場合でも、その場で助言がもらえる等、弁護士が同行してくれれば非常に心強いといえます。

  2. (2)説得的な主張や立証ができる

    遺産分割調停で自分に有利な条件を認めてもらうためには、自己の主張を的確に伝えるとともにそれを裏付ける証拠を提出する必要があります。

    弁護士であれば、法的観点から説得的に主張を行うことができ、調停で提出する証拠も取捨選択することが可能です
    そのため、弁護士に依頼すれば、有利に調停手続きを進めやすくなるでしょう。

  3. (3)有利な展開が望める

    遺産分割調停においては、紛争解決に向けて調停委員が当事者を説得する場合があります。その場合に、弁護士が代理人についていれば、こちらが不利な内容で説得されてしまうことはありません。そうすると、調停委員が相手側を、こちらに有利な内容で説得する場合もありえます。

  4. (4)早期解決が期待できる

    弁護士に依頼することによって、当事者の間で生じやすい感情的な争いを排除し、法的争点に絞った話し合いを行うことができます。
    感情的な争いは法的な解決のためには、ほとんど意味のないものですから、解決のために回り道をしなくて済みます。

    また、譲歩すべき点や着地点を正確に見極めることができるため、弁護士が関与した方が、争いを激化させず早期に合意が成立する可能性が高くなるといえるのです

5、まとめ

遺産分割調停は、基本的には話し合いの手続きであるため、自分の主張がある方は、遺産分割調停に出席してしっかりと伝えていくことが大切です。
どうしても調停期日に出席できないという方は、弁護士に依頼をすることによって、代理人として出席してもらうこともできます。
また、ひとりで対応するのが不安だという場合にも、弁護士に同行してもらうことによって、安心して調停を進めることができるでしょう。
さらに、弁護士に依頼すれば事務的な手続きに煩わされることもなくなりますし、精神的な負担を減らすことができます。

遺産分割調停についてお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 沼津オフィスまでお気軽にご相談ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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