新婚で離婚を切り出された! これからのために考えるべき大切なこと
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沼津市が公開している令和5年版の統計情報によると、令和4年中の婚姻件数は1726件、離婚件数は465件となっており、婚姻・離婚件数ともに年々減少傾向が続いています。
新婚なのに相手から離婚を切り出されてしまった場合、このまま離婚に応じるしかないのでしょうか。スピード離婚を何とか回避できないのか、どのように決断すればよいのか、お一人で悩まれている方も多いと思います。
本コラムでお伝えすることは、大きく以下の3つです。
・ スピード離婚をする夫婦の割合や代表的な離婚理由
・ 離婚を決断する際に考えるべきポイント
・ 離婚せずに円満を目指したいときにすべきこと
新婚なのに離婚を切り出された方、もしくは、スピード離婚をどのように進めるべきか悩んでいる方などに向けて、ベリーベスト法律事務所 沼津オフィスの弁護士が解説します。
1、スピード離婚する夫婦の割合と動向
婚姻してから短期間で離婚をしてしまうと、「スピード離婚をした」と言われるのではないかと悩まれる方もいるのではないでしょうか。
結婚してどのくらいの期間で離婚すると「スピード離婚」なのかは、人それぞれで感覚が異なりますが、一般的には、結婚から「3年未満」であれば「スピード離婚」と言えるでしょう。そのため、この記事では3年未満で離婚した夫婦を「スピード離婚」した夫婦と定義して、その実態を紹介します。
厚生労働省が公表している2022年(令和4年)の「人口動態統計(確定数)の概況」によれば、同年に離婚したカップルの総数は、17万9096組です。
これに対して、同居期間3年未満で離婚したカップルは、全部で「3万2214組」です。
したがって、離婚する全夫婦のうち「スピード離婚」する夫婦が全体の2割近くを占めていると言えそうです。
さらに、同居期間5年未満で離婚するカップルまで範囲を広げてみると、5万2608組と全体の3割近くにのぼることがわかります。
以上より、決して少なくないカップルが結婚してから比較的短期間の間に離婚しているという実態がおわかりいただけたと思います。
2、新婚で離婚を切り出される原因として多い理由
それでは、新婚で離婚を切り出されるのが多い原因にはどのようなものがあるのでしょうか。ここではスピード離婚の原因となる代表的な例をご紹介していきます。
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(1)性格の不一致
新婚で離婚を切り出される理由の典型例として、「性格の不一致」があります。
結婚と同時に同居を開始する夫婦については、これまでの交際期間中には見えなかった部分や、それぞれの考え方などの価値観が明確になることで、お互いの違いが鮮明になってきます。
このような性格の不一致により夫婦間で我慢することや衝突が頻発するようになると、新婚であっても離婚を切り出される可能性が高まります。 -
(2)DVやモラハラ
パートナーにDV(家庭内暴力)やモラハラ(精神的な虐待)の気質がある場合も、スピード離婚に至る可能性があります。交際時には優しかったのに、結婚して同居し始めると豹変するという人もいます。
夫婦の一方から肉体的・精神的な虐待を受けている場合には、離婚事由が存在するとして裁判上の離婚が認められる可能性もあります。訴訟を経てスピード離婚に至るには、DV・モラハラの証拠がどの程度あるのかという点が重要なポイントとなります。 -
(3)相手方の親族と不和が生じる
パートナー間のトラブルではなく、パートナーの親族と不和が生じるというケースもあります。
特に義理の父母と同居する場合には、生活スタイル・価値観の違いから、義理の両親との仲だけでなく夫婦でも関係が悪くなってしまう可能性があります。配偶者が自分の味方をせず、配偶者側の家族の肩を持ったり、逆に、自分の家族に対して文句を言ってきたりした場合には、これ以上夫婦としてやっていけないと感じる方も少なくないでしょう。 -
(4)不倫、浮気
不倫や浮気が発覚した場合にも、スピード離婚に至る可能性があります。結婚早々、パートナーに不倫・浮気をされた場合、精神的ショックが大きく夫婦関係が改善不可能なほど悪化してしまう可能性があります。
不倫や浮気の場合には、新婚の場合であっても、慰謝料を請求できる可能性があるため、できるだけ不倫の証拠を収集・保全しておくことが重要です。 -
(5)金銭問題
結婚して家計を一緒にしたことで、相手に借金があることがわかったり、お金遣いの荒さが目立ったりして、夫婦関係に亀裂が生じることがあります。
高額な債務や借金がある場合には、結婚前にしっかりと相手に話しておくことが信頼を損ねないためにも大切です。相手に隠し事をされていた・信頼できないという点が夫婦関係の破壊につながります。 -
(6)子どもを持つことに対する価値観の違い
子どもがほしい・ほしくないという点で夫婦間の意見が一致しないと、スピード離婚に至る可能性があります。
交際時には子どもについて話しておらず、相手も当然ほしがっていると思っていたところ、相手の「子どもはほしくない」という気持ちを知れば、子どもを持つことを切望していた方にとって致命的になる可能性が高いでしょう。
3、新婚でも離婚を受け入れてよいのか? 決断するときのポイント
新婚なのに離婚を切り出された場合、離婚に応じるべきなのでしょうか。ここでは離婚を決断する際の3つのポイントについてご説明します。
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(1)新婚のうちに離婚しておいたほうが傷は浅く済む可能性が高い
ライフステージが上がるほど、離婚の際に決めなければならなない条件が増えていくため、離婚する際の負担が重くなっていきます。たとえば、夫婦の共有財産が増えたり、子どもが生まれたりといったケースです。
したがって、身軽な新婚のうちに離婚しておいたほうが、結果的に傷が浅くて済む可能性も高いと言えます。「こんなに早く離婚するなんて世間体が悪い」と気にされる方も多いですが、結果的に何年も我慢するよりもメリットが大きい可能性があるのです。 -
(2)今後数十年、一緒にいることができるか考える
夫婦関係を続けるということは、当然今後も生活を共にすることになります。数年の間に子どもが生まれる可能性もあります。
したがって、夫婦だけでなく子どもができた場合についても、今後数十年家族として一緒に過ごしていけるのかを考えることが重要です。
また、新婚の時点でDVやモラハラ被害を受けている場合、状況が自然と改善されることは考えにくく、直ちに離婚した方がご本人の心身の健康のためになると言えるでしょう。 -
(3)今離婚することで、自分が不幸にならないか考える
いわゆる寿退社をしたり、結婚を機にパートナーの居住地に転居したりしている場合、その時点で離婚をするとご自身にとって不利益が大きいという可能性もあります。
また、子どもを妊娠・出産した場合には、生活が安定するまでは離婚しない方が良い場合もあります。
このような場合には、経済的・社会的にパートナーに依存せず、自分自身で生活できる基盤を作ってから離婚に動くのが良いでしょう。 -
(4)すでに子どもがいるケースでは子どもの幸せを考える
新婚夫婦にすでに子どもが生まれている場合には、子どもの幸せを考える必要があります。
親権をめぐって夫婦間で激しい対立は発生しないか、今離婚することでパートナーは毎月の養育費を支払ってくれるだろうか、といった点を考える必要があります。
離婚したことで子どもの養育に十分な環境を用意できなくなるという場合には、離婚を考え直すことも大切でしょう。
4、離婚せずに円満を目指したいときにするべきこと
離婚をせずに夫婦円満を目指したいという場合には、以下のような対応が重要です。
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(1)きちんと話し合う
まずは、夫婦間でしっかりと話し合うことが大切です。
「離婚をしたい理由は何か」、「離婚したい理由は改善・払拭できないのか」、「離婚以外に双方ができる努力はないのか」といった点について、お互いが納得できるまで対話を繰り返すことが重要です。 -
(2)相手に歩み寄る
夫婦だとしてもお互い独立した個人・他人です。価値観や生活リズムが違うのは当然であることを、まずはご自身が認めることが重要です。
自分の言い分や主張ばかりを前面に出しても、関係が修復されることはありません。ときには相手の言い分を聞き、相手に寄り添うことも大切です。 -
(3)同居を解消する
同居をいったん解消して冷却期間を置くことも有効です。毎日顔を突き合わせているとお互い冷静になれないまま、つらい時間を過ごすことになるケースもあります。
そのような場合には、一度別居してお互い一人の時間を設けてみて、ご自身の気持ちと向き合ってみることが重要です。 -
(4)不倫などが原因の場合、二度としないと書面で約束する
新婚の時点で不倫・浮気をすると相手からの信頼を失います。単なる謝罪や反省の弁だけでは関係を再構築することが難しいケースもあります。
事案によっては、「二度と不貞行為はしない。不貞行為をした場合は離婚の申し出に応じ、慰謝料〇〇万円を支払う」という同意書面に署名・押印しておくことで、相手に安心感を与えられる可能性もあります。
5、まとめ
この記事では、新婚で離婚を切り出された場合の原因や対処法について解説してきました。
スピード離婚は悩ましい問題ですが、配偶者との別れを決意された場合には、離婚トラブルの解決実績がある弁護士に相談されることをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所 沼津オフィスには離婚問題の解決実績がある弁護士が在籍しています。新婚なのに離婚を切り出された、スピード離婚をどのように進めるべきか悩んでいるなど、離婚にまつわるお悩みは、一人で抱え込まず弁護士にご相談ください。状況をお伺いし、適切なアドバイス・サポートをご提供いたします。
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