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社用車で事故が起きたら? 会社が責任を負うケース・負わないケース

2022年07月25日
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社用車で事故が起きたら? 会社が責任を負うケース・負わないケース

静岡県警察本部の統計によると、2020年中に静岡県内で発生した交通事故は2万667件で、前年比4435件の減少となりました。その一方で、死者数は108人と、前年比7人の増加となっています。

従業員が社用車で交通事故を起こした場合、会社も使用者責任または運行供用者責任を問われる可能性があるので注意が必要です。また、会社が一定数以上の自動車を使用している場合には、安全運転管理者等を選任する義務を負う点にも、気を付けなければいけません。

本コラムでは、社用車による事故のケースで会社が負う法的責任や、安全運転管理者等の選任義務などについて、ベリーベスト法律事務所 沼津オフィスの弁護士が解説します。

1、従業員が社用車で事故を起こした場合に、会社が負う法的責任

従業員が社用車で事故を起こした場合、会社は「使用者責任」および「運行供用者責任」を負う可能性があります。

  1. (1)使用者責任

    「使用者責任」とは、被用者が事業の執行について第三者に損害を加えた場合に、使用者が負担する損害賠償責任です(民法第715条第1項)。
    使用者は被用者の行為によって利益を得ている以上は、被用者の行為による損害についても負担すべきという「報償責任」の考え方に基づいて、使用者責任が認められています

    なお、社用車の運転が会社業務の適正な執行の一環ではなかったとしても、外形的・客観的に使用者の職務行為の範囲内に属すると認められる場合には、使用者責任が認められることになります。
    たとえば、従業員が社用車をプライベートで運転している最中に事故を起こしたとしても、「事故車が社用車である」という外形から、会社の使用者責任が認められる可能性があるのです。

  2. (2)運行供用者責任

    「運行供用者責任」とは、自己のために自動車を運行の用に供する者(運転者を除く)が、当該自動車による交通事故について負担する、「損害賠償責任」です(自動車損害賠償保障法第3条)。
    物損のみの事故は対象外であり、被害者が死亡またはケガをした人身事故の場合にのみ、運行供用者責任が認められます。

    社用車の場合、会社が運行供用者に該当するため、会社は人身事故の被害者に対する損害賠償責任を負います
    会社の側は、以下の3つすべてを証明することができれば、責任を免れられます。
    逆に、証明できないものが1つでもあれば、運行供用者責任を免れることはできないのです。

    • 自己および運転者が、加害車両の運行に関し注意を怠らなかったこと
    • 被害者または運転者以外の第三者に、事故に関する故意または過失があったこと
    • 自動車に構造上の欠陥または機能の障害がなかったこと
  3. (3)従業員に対する求償の可否

    社用車による交通事故について、会社が使用者責任または運行供用者責任のいずれかを負担する場合、事故を起こした従業員に対して、責任の割合に応じた求償を行うことができます(民法第715条第3項、自動車損害賠償保障法第4条)。

    会社と従業員の責任割合はケース・バイ・ケースで決定されますが、従業員が無許可で社用車を持ちだしたような場合でない限り、損害全額の求償は認められない可能性が高いでしょう。

2、一定台数以上の自動車を使用する場合、安全運転管理者等の選任義務あり

道路交通法第74条の3では、一定台数以上の自動車を使用する者に対して、安全運転管理者・副安全運転管理者の選任を義務付けています。
社用車をたくさん所有している会社は、道路交通法のルールに従いながら、安全運転管理者・副安全運転管理者を適切に選任することが重要になります。

  1. (1)安全運転管理者・副安全運転管理者の選任義務が発生する要件

    安全運転管理者・副安全運転管理者の選任義務が発生するのは、以下の要件に該当する場合です
    安全運転管理者・副安全運転管理者は、要件を満たす事業所ごとに選任する必要があります。

    <安全運転管理者>(道路交通法第74条の3第1項、同法施行規則第9条の8第1項)
    • 事業所ごとに、乗車定員11人以上の自動車を1台以上使用する場合
    • 事業所ごとに、乗車定員10人以下の自動者を5台以上使用する場合

    <副安全運転管理者>(道路交通法第74条の3第4項、同法施行規則第9条の8第2項)
    • 事業所ごとに自動車を20台以上使用する場合(40台以上の場合、20台ごとに1人追加)
      (例)20~39台→1人、40~59台→2人、60~79台→3人……

    ※いずれも大型自動二輪車・普通自動二輪車は0.5台としてカウント(同法施行規則第9条の8第3項)
  2. (2)安全運転管理者・副安全運転管理者の資格要件

    安全運転管理者・副安全運転管理者は、それぞれ、以下の要件を満たしていなければなりません。

    <安全運転管理者>(道路交通法第74条の3第1項、同法施行規則第9条の9第1項)
    1. ① 20歳以上(副安全運転管理者が置かれる場合は30歳以上)
    2. ② 自動車の運転管理に関する2年以上の実務経験(または、公安委員会によって同等以上の能力が認定されたこと)

    <副安全運転管理者>(道路交通法第74条の3第4項、同法施行規則第9条の9第2項)
    1. ① 20歳以上
    2. ② 自動車の運転管理に関する1年以上の実務経験もしくは3年以上の運転経験(または、公安委員会によって同等以上の能力が認定されたこと)

    <安全運転管理者・副安全運転管理者共通>
    1. ③ 公安委員会によって、過去2年以内に安全運転管理者または副安全運転管理者を解任されていないこと
    2. ④ 過去2年以内に次の違反行為をしていないこと
      ひき逃げ、酒酔い運転、酒気帯び運転、無免許運転、麻薬等運転、酒酔い・酒気帯び運転に関し車両・酒類を提供する行為、酒酔い・酒気帯び運転車両へ同乗する行為、自動車使用制限命令違反、妨害運転
  3. (3)安全運転管理者・副安全運転管理者の業務

    安全運転管理者は、自動車の安全運転を確保するため、従業員に対して以下の業務を行います(道路交通法第74条の3第2項、同法施行規則第9条の10)。

    • 交通安全教育
    • 運転者の適性等の把握
    • 運行計画の作成
    • 交替運転者の配置
    • 異常気象時等の措置
    • 点呼、日常点検、安全運転に関する指示
    • 運転日誌の備付け、運転者に対する記録指示
    • 安全運転指導


    副安全運転管理者は、安全運転管理者の補助者として、上記の各業務をサポートします。

  4. (4)安全運転管理者の選任義務等に違反した場合の罰則

    安全運転管理者または副安全運転管理者の選任義務に違反した場合、「5万円以下の罰金」が科されます(道路交通法第120条第1項第11号の3)。

    また、安全運転管理者・副安全運転管理者を選任した場合、選任日から15日以内に、内閣府令で定める事項を所轄の公安委員会に届け出なければなりません(同法第74条の3第5項)。
    届出義務に違反した場合には、「2万円以下の罰金または科料」が科されます(同法第121条第1項第9号の2)。

3、令和4年4月以降、安全運転管理者によるアルコールチェックが義務化

令和4年4月1日と10月1日の2回に分けて、道路交通法施行規則の改正が施行され、安全運転管理者による運転前後のアルコールチェックが義務化されるようになります。

  1. (1)令和4年4月から目視でのアルコールチェックが義務化される

    令和4年4月1日以降、安全運転管理者は、運転前後の運転者の状態を目視等で確認して、運転者の酒気帯びの有無を確認しなければなりません(改正後道路交通法施行規則第9条の10第6号)。

    また、安全運転管理者は、上記の確認内容を記録したうえで、1年間保存する必要があります(同条第7号)。

  2. (2)令和4年10月からはアルコール検知器を用いたチェックが義務化

    令和4年10月1日以降、安全運転管理者は、上記の酒気帯びの有無の確認を、目視等に加えて、アルコール検知器を用いて行わなければなりません(改正後道路交通法施行規則第9条の10第6号)。

    また、安全運転管理者は、アルコール検知器気を常時有効に保持する必要があります(同条第7号)。

4、社用車による事故について弁護士に相談すべきケース

社用車による交通事故について、被害者から損害賠償金の請求を受けた場合や、従業員との間でトラブルになった場合には、弁護士まで相談してください
弁護士であれば、被害者との示談交渉を進めながら、適正で妥当な内容による解決を実現することができます。

また、社用車による交通事故等を含め、突発的な事態が発生した場合に備えて、普段から顧問契約しておくことをおすすめします。
顧問契約すれば、日常的な法律問題についていつでも相談できるほか、トラブルが起きた場合にも、迅速に対応を依頼することができるでしょう。

社用車による交通事故への対応にお悩みの方や、事業に関するトラブルについて備えておきたい方は、ベリーベスト法律事務所までご連絡ください。

5、まとめ

従業員が社用車の運転中に事故を起こした場合、会社は使用者責任または運行供用者責任を負担する可能性があります。
従業員に対する求償は可能ですが、全額の求償は認められにくい点に注意してください。
また、一定台数以上の自動車を使用する事業者は、安全運転管理者・副安全運転管理者の選任が必要になる点にも、留意しておくようにしましょう。

ベリーベスト法律事務所では、社用車に関する取り扱いやトラブルを含めて、企業が抱えるお悩みについてのご相談を随時受け付けております
静岡県沼津市や近隣市町村で会社を経営されている方は、ベリーベスト法律事務所 沼津オフィスまでご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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