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不当解雇かも? 疑うべきケースと労働審判で得られる解決金について

2021年11月01日
  • 不当解雇・退職勧奨
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不当解雇かも? 疑うべきケースと労働審判で得られる解決金について

静岡県の統計によると、2021年5月末時点における静岡県内の常用労働者数は142万2278人でした。そのうちパートタイム労働者は30.4%となっています。

会社が従業員を解雇するハードルはきわめて高く、かなり多くの解雇事例が不当解雇に当たると考えられます。不当解雇が疑われる場合、弁護士に依頼して「労働審判」を申し立てるのが有力な対処法です。

この記事では、不当解雇の判断基準や、不当解雇への対処法である「労働審判」の概要などについて、ベリーベスト法律事務所 沼津オフィスの弁護士が解説します。

1、不当解雇の判断基準は?

解雇には「懲戒解雇」「整理解雇」「普通解雇」の3種類があり、それぞれ不当解雇の判断基準が異なります。

  1. (1)懲戒解雇が無効となる場合

    「懲戒解雇」とは、就業規則違反などの非違行為を理由に、懲戒処分として従業員を解雇することをいいます。

    懲戒解雇は以下の要件をすべて満たす必要があり、どちらかでも欠ければ違法な不当解雇となります

    ① 懲戒事由が存在すること
    就業規則に定められた懲戒事由のいずれかに該当することが、懲戒解雇の大前提です。

    ② 会社内部に懲戒解雇できる旨の規定が存在すること
    懲戒解雇は、懲戒処分の一種ですから、就業規則等の根拠がなければこれを行うことができません。

    ③ 解雇に客観的合理性・社会的相当性が認められること
    「解雇権濫用の法理」(労働契約法第16条)により、客観的に合理的な理由がなく、社会的に相当と認められない解雇は違法・無効となります。懲戒解雇の場合は、よほど悪質な非違行為でない限り、解雇以前に根気強く改善指導を行うなどの対応が求められます。
  2. (2)整理解雇が無効となる場合

    「整理解雇」とは、会社の経営不振による人員整理の必要性を理由に、従業員を解雇することをいいます。

    裁判実務上、整理解雇には以下の4要件が要求されています(解雇権濫用の法理が具体化されたものと解されます)。
    整理解雇の4要件をバランスよく満たしていなければ、不当解雇と評価される可能性が高いでしょう

    ① 人員整理の必要性
    人員を整理しなければならない必要性がどの程度あるか、を問題とする項目です。これについては、会社の合理的運営上やむを得ない必要があれば足りると解釈・運用されています。

    ② 解雇回避努力義務の履行
    役員報酬の削減・新規採用の停止・希望退職者の募集など、代替手段により解雇を回避する努力を尽くしてもなお、解雇がやむを得ないと評価されることが必要です。

    ③ 被解雇者選定の合理性
    整理解雇の対象者は、能力・実績などの合理的な基準によって選定されなければなりません。

    ④ 手続きの妥当性
    労働者(および労働組合)に対して、整理解雇の必要性につき十分に説明を行い、納得を得るプロセスを経たかどうかが審査されます。
  3. (3)普通解雇が無効となる場合

    「普通解雇」とは、懲戒解雇と整理解雇以外の解雇全般を意味します。

    普通解雇は、以下の要件を満たすことが必要であり、欠ければ不当解雇に該当します。

    ● 解雇に客観的合理性・社会的相当性が認められること
    他の種類の解雇と同様に、解雇権濫用の法理が適用されます。
    解雇事由の内容や程度が考慮され、解雇が真にやむを得ないといえるか、労働者にとって酷でないかなどの点が審査されます。

2、不当解雇問題を解決するまでの流れ

会社から不当解雇された場合には、交渉や法的手続きを通じて、復職や解決金の支払いを求めることになります
不当解雇問題を解決するまでの大まかな流れは、以下のとおりです。

  1. (1)事前準備

    不当解雇への反論を有利に展開するため、まずは以下の事前準備を行いましょう。

    • 会社に対して解雇理由証明書(労働基準法第22条第2項)の発行を請求し、解雇理由を確認する
    • 解雇の不当性を示す事実を整理する
    • 解雇の不当性に関する証拠を集める(メールのやり取りなど)
  2. (2)会社と復職等の交渉をする

    事前準備が完了したら、会社との間で復職や解決金支払いに関する交渉を開始します。

    会社への連絡をする際には、内容証明郵便を利用するのが一般的です。
    会社との交渉では、解雇の正当性がないことを、解雇権濫用の法理(労働契約法第16条)などの法律上の規定に沿って主張しましょう。
    弁護士に交渉を依頼すれば、会社から譲歩を引き出せる可能性が高まります

  3. (3)労働審判の申し立てまたは訴訟の提起

    会社が一貫して解雇の正当性を主張し、交渉がまとまらない場合には、労働審判を申し立てることを検討しましょう。

    労働審判を申し立てれば、法的強制力をもって迅速に不当解雇問題を解決できる可能性があります。

    ただし、労働審判に対して異議申し立てが行われた場合は訴訟に発展するため、会社側の姿勢が強硬な場合には、最初から訴訟を申し立てることも考えられます。また、交渉段階で会社から何も返答がない場合などについても、最初から訴訟を提起する余地があります
    どちらの手続きを選択すべきかについては、弁護士にご相談ください。

3、労働審判とは? 手続きの流れや必要な準備について

労働審判は、不当解雇問題を迅速に解決できる可能性のある法的手続きです。

労働者にとって有利な解決を得るため、手続きの流れを理解しつつ、必要な準備をきちんと整えて労働審判に臨みましょう。

  1. (1)労働審判=迅速に労務紛争を解決するための法的手続き

    労働審判は、労務紛争全般を解決することを目的として申し立てることができます。
    不当解雇問題についても、労働審判による解決の対象です

    労働審判は、原則として3回以内の期日で審理が終結するため(労働審判法第15条第2項)、訴訟とは異なり長期化する懸念がなく、迅速に不当解雇問題を解決できる可能性があります。

  2. (2)労働審判の手続きの流れ

    労働審判の大まかな流れは、以下のとおりです。

    ① 労働審判の申し立て
    労働者が労働審判を申し立てる場合、会社の本店所在地若しくは事務所の所在地を管轄する地方裁判所又は労働者が就業している事業所の所在地を管轄する地方裁判所に対して、証拠を添付した申立書を提出します。

    ② 労働審判手続期日
    申立書が受理されると、原則として40日以内に労働審判手続期日が指定され、当事者双方出席の下で期日が行われます。労働審判手続期日では、裁判官1名と労働審判員2名で構成される労働審判委員会が、労使双方の陳述を聴いて争点・証拠を整理します(労働審判法第15条第1項)。前述のとおり、労働審判手続期日は原則として3回以内です。

    ③ 調停成立or労働審判
    裁判官が作成する調停案に労使双方が合意すると、調停成立となって労働審判手続きは終了します。これに対して、調停が成立しない場合には、労働審判委員会が審判によって結論を示します。

    ④ 異議申し立て
    労働審判に対しては、告知を受けた日から2週間以内に異議を申し立てることができます(同法第21条第1項)。適法な異議申し立てがなされた場合、労働審判は失効して訴訟手続きへ移行します(同条第3項、第22条第1項)。一方、適法な異議申し立てがなかった場合、労働審判は裁判上の和解と同一の効力を有し(同法第21条第4項)、当事者双方を拘束します。
  3. (3)労働審判で不当解雇を争う際に必要な準備

    労働審判で不当解雇を争う際には、会社が主張する解雇の根拠に対して、適切に反論を行うことがポイントになります。
    そのためには、解雇理由証明書の内容を分析すること、および解雇が客観的合理性・社会的相当性を欠くことを示す証拠を集めることが大切です。

    特に証拠収集については、解雇に関する会社とのやり取りを掘り起こして、労働審判で提出できそうなものがないかを根気強く確認しなければなりません。
    労働者ご自身で対応することが難しければ、弁護士にご相談ください。

4、労働審判で得られるものと、その後の展開について

労働審判で労働者側の主張が認められれば、解決金等の金銭が得られるほか、復職が認められる可能性もあります

ただし、異議申し立てが行われた場合には訴訟に発展するので、弁護士に相談して準備を整えましょう。

  1. (1)解決金を得られる

    不当解雇に関する労働審判では、会社が労働者に対して「解決金」を支払う形で解決するのが一般的です。
    解決金は、会社と労働者の間の和解金として位置づけられ、慰謝料とは異なります。

    解決金は、労働者の賃金を基準にして決めることが多く、1か月分・2か月分など計上して決めます
    事案によっては、1年分を超える解決金が得られる場合もあります。

  2. (2)復職が認められる可能性もある

    労働審判によって解雇の無効が認められれば、労働者の復職が実現します。
    この場合、不当解雇によって就労できなかった期間の賃金全額の支払いを受けられます

  3. (3)異議申し立てが行われた場合は訴訟に発展する

    労働審判に対して適法な異議申し立てがなされた場合、労働審判は失効して不当解雇訴訟へ移行します。
    そのため、労働審判を申し立てる際には、あらかじめ訴訟に発展することを見据えて準備を進めることが大切です。

    主張書面や証拠について、労働審判の段階からきちんと準備を整えておけば、訴訟に移行しても戸惑う必要はありません。
    労働者にとって最終的に有利な解決を得るためにも、お早めに弁護士までご相談ください。

5、まとめ

会社から不当解雇に遭った場合は、労働審判を申し立てて復職や解決金等の支払いを求めるのが有力な選択肢です。

労働審判は、労働者ご自身で申し立てることもできますが、内容が専門的であるため、きちんと準備を整えて臨むためには、弁護士への相談をおすすめいたします。

ベリーベスト法律事務所 沼津オフィスでは、訴訟に発展する可能性があることも踏まえつつ、入念に準備を整えて労働者の方の権利回復をサポートいたします。

綿密にコミュニケーションをとりながら、相談者さまに寄り添った解決を目指して尽力いたしますので、不当解雇への対応にお悩みの方は、ぜひ弁護士までご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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