事故のあと代車を使用できる期間は? 認められる車種についても解説
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令和4年に沼津市で発生した交通事故は1031件でした。年々減少してはいるものの、沼津市には東名高速道路や国道1号線などの主要幹線道路もあり、交通量も非常に多い地域のため件数としては少なくありません。
交通事故によって車両が破損して使えなくなった場合、加害者側に対して代車費用を請求することができます。
本コラムでは、交通事故の損害賠償として認められる代車費用について、期間・車種・請求が認められないケースなどをベリーベスト法律事務所 沼津オフィスの弁護士が解説します。
1、代車費用の損害賠償が認められる期間は?
交通事故によって車が破損して使えなくなった場合、被害者は加害者側に対して、借りた代車の費用を請求できます。
ただし、代車費用の損害賠償は、無制限に認められるわけではありません。
あくまでも、交通事故との間で相当因果関係がある代車費用に限って、損害賠償が認められるのです。
また、代車費用の損害賠償が認められる期間は、事故車の修理や買い替えに必要な合理的な期間です。
一般的には、修理であれば2週間程度、買い替えであれば1か月程度が目安と考えられます。
代車を借りる期間があまりにも長くなると、代車費用の損害賠償は認められなくなる可能性も高くなることに注意してください。
2、代車の車種は選べるのか?
代車費用の損害賠償の観点からは、事故車の代車を選ぶ際には、その車種にも注意が必要です。
車種によっては代車費用の一部しか損害賠償請求が認められない可能性があるためです。
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(1)事故車と同程度のグレードから選ぶのが原則
交通事故の損害賠償の基本的な考え方は、予見が可能な特別な事情がある場合を除いて、通常生じる損害を賠償することです。
そのため、代車費用の損害賠償が認められるのは、事故車と同程度のグレードの車種の費用が限度となるのが原則です。
事故車よりも高いグレードの代車を選んだ場合には、事故車と同程度のグレードの車種の代車費用が損害賠償の上限となる可能性が高いでしょう。 -
(2)事故車よりも高いグレードの代車が認められるケースの例
事故車よりも高いグレードの車種を借りることがやむを得ない場合には、例外的に、代車費用全額の損害賠償が認められる可能性があります。
たとえば、事故車のグレードが非常に低く状態も良くなかった場合などには、それよりもグレードが高い標準的な軽自動車や小型自動車しか代車として借りる選択肢がないでしょう。
このような場合には、他に選択肢がなかったことが考慮されて、代車費用の全額の損害賠償が認められる可能性があるのです。
ただし、事故車よりも高いグレードの代車費用について全額の損害賠償を認めてもらうにためには、その理由について具体的に主張したり立証したりすることが必要となります。
3、代車費用の請求が認められないケースの例
代車費用の損害賠償請求は、交通事故との間で相当因果関係がなければ認められません。
以下では、代車費用の損害賠償請求が認められない場合について解説します。
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(1)代車を使用する必要性がない場合
交通事故の被害者が代車を使用する必要性がなければ、代車を借りたとしても、代車費用の損害賠償請求は認められません。
たとえば、被害者がひとりで車を何台も所有していたとします。
このような状況では、所有する車のうち1台が事故により破損したとしても、他の車を使えば、日常生活や仕事に支障は生じない可能性が高いででしょう。
このような場合には、代車を使用する必要性がないものとして、代車費用の損害賠償は認められない可能性が高くなります。
また、日常生活や仕事においてほとんど車を使用しておらず、普段は公共交通機関を利用している場合などにも、代車を借りる必要性がないものとして、代車費用の損害賠償は認められない可能性があります。 -
(2)事故車の修理への着手が遅れた場合
前述のとおり、代車費用の損害賠償が認められる期間は、修理であれば2週間程度、買い替えであれば1か月程度が目安です。
上記の目安期間は、事故車の修理や買い替えを完了するために要するであろう期間が基準となっています。
実際に要する期間はケースバイケースで異なりますが、損害賠償の範囲を決めるにあたっては「社会通念上相当な期間に限定する」ということが基本になります。
もし、被害者の都合により事故車の修理や買い替えに着手する時期が遅れた場合には、代車を借りる期間は長くなる可能性があります。
しかし、被害者の都合によって代車費用が増えたとすれば、そこまでの責任を加害者に負わせるべきではありません。
そのため、事故車の修理・買い替えに着手する時期が遅れると、代車を借りる期間が延びた分の代車費用については、損害賠償が認められない可能性が高まってしまうのです。
回収できない損害額の拡大を防ぐためにも、事故車の修理・買い替えには早めに着手しましょう。 -
(3)高級外車を代車として借りた場合
前述のとおり、代車費用の損害賠償の上限は、事故車と同グレード車種の代車費用となることが原則です。
しかし、事故車が高級外車である場合は、同じく高級外車である代車を借りたとしても、代車費用全額の損害賠償が認められにくい傾向にあります。
高級外車の金額にはプレミアム(付加価値)が大部分を占めており、プレミアム分が代車費用に転嫁されていると思われるところ、プレミアムについては交通事故との相当因果関係が認められにくいためです。
高級外車が事故に遭った場合、代車費用の損害賠償が認められるのは、国産の高級車を借りた際の費用が上限の目安となります。
なお、高級外車を代車として使用しなければ、仕事の性格上社会的信用を失うなど高級外車を使用する必要性等の特別の事情があれば、高級外車の代車費用の損害賠償が認められる可能性もあります。
ただし、高級外車の代車費用全額を請求する場合は、特別の事情について被害者が具体的に主張・立証したりすることが必要になります。
4、交通事故の損害賠償請求を弁護士に依頼すべき理由
交通事故の被害者は、加害者に対してさまざまな項目の損害賠償を請求できます。
以下では、交通事故の損害賠償請求について弁護士に依頼すべき理由を解説します。
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(1)適正額の損害賠償を請求できる
加害者または保険会社が提示する損害賠償額(保険金額)は、交通事故によって被害者が受けた損害額に及ばないケースが多いといえます。
弁護士であれば、過去の裁判例や交通事故の客観的な状況を分析し、被害者の損害額を計算したうえで、加害者側に対して全額の支払いを請求することができます。
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(2)損害項目の見落としを防げる
交通事故の損害賠償を請求できる項目は、多岐にわたります。
① 物的損害
- 修理費
- 登録手続関係費等
- 評価損
- 代車使用料(必要性がある限り、レンタカー代を含む)
- 休車損
② 人身損害
- 治療費
- 通院付添費用
- 交通費
- 休業損害
- 入通院慰謝料
- 後遺障害慰謝料
- 後遺障害逸失利益
③ 入院時の損害
- 入院付添費
- 入院諸雑費
弁護士であれば、被害者に生じた損害項目を網羅的にリストアップして、そのすべてについて加害者側に損害賠償を請求することができます。
被害者ご自身では気づきにくい損害についても、弁護士に検討を依頼すれば、漏れなく把握したうえで請求することができるでしょう。 -
(3)損害賠償請求の手続きを一任できる
交通事故の損害賠償請求は、加害者側との示談交渉・交通事故ADR・訴訟などの手続きを通じて行います。
これらの手続きについて、被害者が自力で対応することは非常に大変です。
弁護士には、示談交渉・交通事故ADR・訴訟の対応を含めて、損害賠償に必要な準備や手続きを全面的に依頼することが可能です。
手続きに関する対応を弁護士に一任させることで、被害者の負担は大幅に軽減され、治療や生活の立て直しに集中しながら損害賠償を請求することができるでしょう。
5、まとめ
交通事故によって破損した車の代車費用は、事故との間で相当因果関係があるものに限り、加害者側に対して損害賠償を請求することができます。
代車費用の損害賠償が認められる期間は、修理であれば2週間程度、買い替えであれば1か月程度が目安です。
また、車種については、原則として事故車と同程度のグレードから選ぶのが原則となります。
代車を借りる期間や車種などの事情によっては、代車費用の全部または一部につき、損害賠償が認められないこともある点に注意してください。
ベリーベスト法律事務所は、交通事故の損害賠償請求に関するご相談を随時受け付けております。
交通事故の被害者であり、加害者側に対して代車費用を含む損害賠償を請求したいと望まれている方は、まずはベリーベスト法律事務所にご連絡ください。
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