ゴミの放置はルール違反! 法律的に対処するための方法は?

2022年07月12日
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ゴミの放置はルール違反! 法律的に対処するための方法は?

令和4年2月、静岡県伊豆市の県道でボストンバッグと紙袋が置かれており、警察は不審物として約2.5kmにわたり4時間以上通行止めにして、爆発物処理班を出動させるという事態にまで発見しました。しかし、中身は空き缶や空きビン、弁当などのゴミだったのです。

地域やマンションのゴミ出しには、時間が守られなかったり分別のルールを守られなかったりすることが原因のトラブルが付き物です。

本コラムでは、ゴミ出しで起きるルール違反は違法であるかどうかや、ゴミを放置する住民に対して対処する方法について、ベリーベスト法律事務所 沼津オフィスの弁護士が解説します。

1、地域やマンションにおけるゴミ放置の問題

地域やマンションではゴミの放置が問題となりがちです。
ゴミの放置の問題は、「時間やルールが守られずに回収されなかった場合」と「不法投棄された場合」の2種類に大別できます。

  1. (1)普通ゴミを時間やルールを守らずに出されたために回収されない場合

    産業廃棄物ではない、家庭から排出されるゴミは、各自治体が定める回収ルールに沿って搬出することが決められています。

    ゴミの収集車は、決められた日の決められた時間だけに回収を行いますので、普通ゴミが、決められた時間や場所を守らずに出されてしまうと、回収が間に合わず、収集してもらえないことがあります。その場合、ゴミ集積所に残されたゴミが、「放置ゴミ」として問題になるのです

    また、ゴミ出しでは、曜日や時間だけでなく、分別に関するルールも決められています。
    分別のルールも各自治体によって異なっていますので、ルール違反があると、回収してもらえません。分別ルールを守らないゴミ出しも、放置ゴミ問題の一つです。

  2. (2)粗大ゴミが不法投棄される場合

    そもそも通常のゴミ回収の対象ではない、粗大ゴミの不法投棄も大きな問題です。

    ほとんどの自治体では、粗大ゴミについては、普通ゴミと違う回収ルールが定められています。「別料金がかかる」「回収の予約が必要」「出せるサイズや種類に指定がある」「一度に出せる量に制限がある」など、普通ゴミよりも厳しいルールが設定されていることが多いです。
    しかし、粗大ゴミのルールを破って放置されてしまうことも多々あります

    特に、引っ越しの際に想定よりも多くの粗大ゴミが出た場合には、捨て場に困ってついついルールを破って廃棄してしまう方がおられます。
    また、ひとくちに粗大ゴミの不法投棄といっても、「所定のゴミ置き場に出したが、出し方がルール違反であった場合」や「そもそも所定のゴミ置き場に出さず、路上や他人の家の前などに放置した場合」などがあります。また、山林など人目のつかないところや民家の敷地など他人の管理する場所に運び込んで廃棄するような場合もあるのです。

    放置ゴミは、地域やマンジョンの住人にとって迷惑になるだけでなく、環境問題とも直結しています。したがって、毅然(きぜん)とした対応をとることが大切なのです

2、ゴミ出しのルール違反は違法?

前述したように、ルール違反によって放置ゴミが生じる問題は、二つに分けることができます。
一つは、指定された時間や廃棄場所のルールを守らずに、ゴミが出されるケースです。
もう一つは、定められた分別のルールが守られないケースです。

以下では、それぞれのケースの違法性について解説します。

  1. (1)指定日時や指定場所を守らないゴミ出しについて

    ゴミ出しのルールは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」によって規定されています。

    廃棄物処理法の第16条では、「何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない」と規定されています。
    この「みだりに」という言葉は、判例によれば「生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図るという法の趣旨に照らし、社会的に許容される」かどうかという観点で判断されます(最決 平成18年2月20日)。

    具体的な事例でかなり判断が微妙なケースもありますが、決められたルールに反して自分の都合でゴミを捨ててはならないのは当然です
    決められた収集場所や収集時間を守らないゴミ出しは、「みだりに廃棄物を捨てた」ものとされて、廃棄物処理法違反に該当するケースが多いでしょう。

    たとえば、以下のような行為が、廃棄物処理法違反に該当します。

    • 深夜に友人が急に家を訪問すると言い出したので、慌てて自宅内のゴミを近隣の路上裏(ゴミ出し指定場所以外)に置いてしまった
    • 朝早く起きてゴミを出すのが面倒だから、ゴミ収集日の前日の晩にゴミを出した
    • 自分の居住するマンション以外のゴミ捨て場でゴミを出すのを忘れてしまい、通りすがりの別のマンションのゴミ捨て場にゴミを出してしまった
    • 次のゴミの回収曜日が旅行の日程に重なるため、指定日以外の曜日にゴミを出して出掛けてしまった
    • 家の整理をしていたら粗大ゴミが思ったより多く出てしまい、捨て場所に困り車で近隣の林裏に捨ててしまった


    「そのうち誰かが回収してくれるだろう」という思いで、軽い気持ちでルールを破ってゴミを出してしまうことも、廃棄物処理法違反事件として逮捕される可能性があるのです。
    また、廃棄物処理法の罰則は、「5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金、またはこれの併科」と定められています。

  2. (2)分別ルールを守らないゴミ出しについて

    先述したように、廃棄物処理法では、「ゴミをみだりに捨ててはならない」ということが定められています。
    これは主として、「指定された場所に、指定された時間にゴミを出さなければならない」という意味になります。

    ゴミの分別ルールは、自治体によって異なっています。法律は原則として「全国で統一された決まり」であるために、分別ルールの違反を法律で取り締まることはできません。
    そのため、分別ルールを違反することについては、各自治体で条例によって処罰が定められています。
    そして、多くの自治体の条例では、分別ルールに反することについて、「過料」などの罰則が科されています

    放置ゴミの問題に悩まされている、マンションの管理人や地域の管理組合の方々は、以下のような対応をとることができます。
    まず、違反者が誰であるか判明している場合には、個別に通知するなどして改善を求めましょう。
    誰が違反をしているかわからない場合でも、事情を記したチラシや案内文を作成して、ルールの徹底を求めることができます。
    なお、分別ルールは自治体によって異なるため、転居したばかり住民が以前に住んでいた自治体のルールに基づいて分別することで、悪意なくルールに違反してしまう場合もあります。そのため、定期的に正しい分別ルールに関する案内を配ることで、ルールが周知されて違反がなくなる場合もあります。

    以下のような対応を行ってもルール違反が続く場合には、自治体に通報するなど、より強固な対応をしたほうがよいでしょう

3、粗大ゴミが不法投棄されていた場合の対処法は?

粗大ゴミが不法投棄されていたら、原則として、まずは自治体に連絡しましょう。一般廃棄物(家庭ゴミ)の場合には市町村役場の環境局に、産業廃棄物の場合には都道府県または政令都市の保健所に連絡してください。

ただし、ゴミの状態を見ても、一般廃棄物なのか産業廃棄物なのかが判別できない場合もあります。その場合には、まずは地元の市町村役場や環境省の不法投棄ホットラインに連絡してください。

なお、不法投棄は条例違反では済まされず、産業廃棄物法に違反する犯罪です。そのため、市町村役場だけでなく、警察も連携して対処にあたる場合がありますし、犯人が逮捕される可能性もあります
不法投棄に関して自治体や警察など通報する場合には、以下の事項を伝えましょう。

  • 不法投棄がなされた場所
  • 不法投棄を発見した日時
  • 不法投棄されたゴミの種類
  • 不法投棄されたゴミの量
  • 現場の被害状況


4、ゴミ出しのルール違反や放置に悩まされている場合は弁護士に相談

マンションを管理されている方の多くが、ゴミ出しのルール違反や放置ゴミの問題に悩まされています。犯人が居住者の場合もあれば、部外者のこともあるでしょう。部外者の場合は犯人を発見することも困難です。また、犯人が居住者の場合にも、住民トラブルにもなりかねず、管理人としても対応に苦慮してしまいます。

弁護士に相談すれば、放置ゴミの問題について、適切な対応方法をアドバイスすることができます
そもそも、ルール違反のゴミ出しは廃棄物処理法や地域の条例に違反する行為です。法律の専門家に相談したうえで、被害が繰り返されないように、毅然とした対応をとりましょう。

5、まとめ

ゴミ出しのルールが厳しくなるにつれて、ルールを守らない放置ゴミの問題も悪化しています。
静岡県で放置ゴミの問題に悩まされているマンションの管理人や地域の管理組合の方々は、ベリーベスト法律事務所 沼津オフィスにまでご相談ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています