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著作権を侵害された! 損害賠償で相手を訴える方法

2022年11月17日
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著作権を侵害された! 損害賠償で相手を訴える方法

2020年に静岡地方裁判所沼津支部が受理した民事事件は5601件でした。

音楽・映画・美術・文章など、創作性のある作品には「著作権」が発生します。もしご自身の有する著作権を侵害された場合には、侵害者に対する損害賠償請求などを検討することができます。

本コラムでは、著作権侵害の要件や損害額の計算方法、著作権侵害を受けた場合の対処法などについて、ベリーベスト法律事務所 沼津オフィスの弁護士が解説します。

1、著作権侵害の要件

著作権侵害は、以下の要件をすべて満たす行為について成立します。

  • 対象が「創作性」を伴う「表現」である著作物であること
  • 「直接侵害」または「みなし侵害」に該当すること
  • 著作権が制限される場合にあたらないこと


また、著作権侵害を理由に損害賠償請求を行うためには、上記に加えて、「侵害者の故意または過失が存在すること」と「損害が発生したこと」も要件になるのです。

以下では、各要件について、詳しく解説します。

  1. (1)著作物性(創作性)

    著作権が認められるのは、文芸・学術・美術・音楽のうち「思想または感情を創作的に表現したもの」です(著作権法第2条第1項第1号)。
    つまり、著作権による保護を受けるためには、表現物に「創作性」が認められる必要があるのです。

    創作性とは「作成者の何らかの個性が表現されていること」を意味します
    必ずしも独創性が発揮されていることは求められませんが、短文のように自由度が低い場合や、ありふれた表現である場合には、創作性が認められない可能性が高くなります。

  2. (2)「直接侵害」または「みなし侵害」に該当すること

    著作権侵害が成立するためには、侵害者の行為が「直接侵害」または「みなし侵害」のいずれかに該当することが必要とされます

    「直接侵害」は、以下の権利により保護されている行為を、権利者(著作権者)に無断で行った場合に成立します。

    ① 複製権
    著作物を複製(コピー)する権利(著作権法第21条)。

    ② 上演権・演奏権
    著作物を公に上演し、または演奏する権利(著作権法第22条)。

    ③ 上映権
    著作物を公に上映する権利(著作権法第22条の2)。

    ④ 公衆送信権
    インターネット上への著作物のアップロード行為など、著作物を公に向けて送信する権利(著作権法第23条)。

    ⑤ 口述権
    言語の著作物を公に口述する権利(著作権法第24条)。

    ⑥ 展示権
    美術の著作物または未発行の写真の著作物を、原作品によって公に展示する権利(著作権法第25条)。

    ⑦ 頒布権
    映画の著作物を複製物(配給フィルム・BD・DVDなど)によって頒布する権利(著作権法第26条)。

    ⑧ 譲渡権
    原作品または複製物の譲渡(販売)によって、著作物(映画の著作物を除く)を公衆に提供する権利(著作権法第26条の2)。

    ⑨ 貸与権
    複製物の貸与(レンタル)によって、著作物(映画の著作物を除く)を公衆に提供する権利(著作権法第26条の3)。

    ⑩ 翻訳権・翻案権
    二次創作やパロディーなど、著作物を翻訳・編曲・変形・脚色・映画化・その他翻案する権利(著作権法第27条)。


    「みなし侵害」は、以下の行為について成立します(著作権法第113条)。

    ① 国内で行われれば侵害にあたる行為により作成された物の、国内頒布目的による輸入

    ② 侵害行為により作成された物につき、情を知って行う以下の行為
    • 頒布
    • 頒布目的所持
    • 頒布申出
    • 業としての輸出
    • 業としての輸出目的所持


    ③「リーチサイト」「リーチアプリ」の提供

    ④ 情を知って海賊版プログラムのライセンスを取得し、そのコピーを業務の一環としてコンピューター上で使用する行為

    ⑤ コピーガードの不正解除

    ⑥ コピーガード解除のパスワードの、公衆に対する譲渡・貸与等

    ⑦ 著作物の権利管理情報の改ざん

    ⑧ 権利管理情報が改ざんされた著作物またはそのコピーにつき、情を知って行う頒布等

    ⑨ 国内盤CDの発行後4年以内に、国外盤CDを輸入・国内頒布・頒布目的所持し、著作権者・著作隣接権者の利益を不当に害する行為

    ⑩ 著作者の名誉・声望を害する方法による著作物の利用
  3. (3)著作権が制限される場合にあたらないこと

    形式的には直接侵害またはみなし侵害に該当する行為でも、以下のいずれかに該当する場合には、例外的に、「著作権侵害にはあたらない」と判断されます

    • 私的使用目的による複製(著作権法第30条)
    • 付随対象著作物の利用(同法第30条の2)
    • 図書館等における複製、記録、提供(同法第31条)
    • 引用(同法第32条)
    • 教科用図書等への掲載(同法第33条)
    • 学校教育番組の放送、教材掲載(同法第34条)
    • 学校などの教育機関における複製、公衆送信(同法第35条)
    • 試験問題としての複製、公衆送信(同法第36条)
    • 時事問題に関する論説の転載等(同法第39条)
    • 政治上の演説等の利用(同法第40条)
    • 時事的な事件の報道のための利用(同法第41条)
    など
  4. (4)損害賠償請求の際には、故意・過失と損害の発生が必要

    著作権侵害を理由に損害賠償請求を行う場合、請求の法的根拠は「不法行為」(民法第709条)であるため、「侵害者の故意または過失」と「損害が発生したこと」が要件に加わります。
    なお、差止請求を行うだけであれば、上記の要件は求められません。

2、著作権侵害による損害額の計算方法

侵害者の行為が著作権侵害にあたる場合、以下の金額が、著作権者に生じた損害額として推定されます(著作権法第114条第1項~第4項)

① 侵害者が侵害物件を譲渡または公衆送信した場合:譲渡・公衆送信された数量×著作権者が得られたはずの単位数量あたりの利益

② 侵害者が、侵害行為によって利益を受けている場合:侵害者が受けている利益の額

③ 著作権者がライセンス料を設定している場合:ライセンス料相当額

④ 著作権の管理を管理事業者に委託している場合:管理事業者が定める使用料相当額


上記のいずれかを根拠に損害賠償を請求する場合には、著作権者は損害額について追加の立証を行う必要がありません。
なお、著作権者は、上記の推定額を超える損害賠償を侵害者に対して請求することもできます(同条第5項)。

3、著作権侵害を受けた場合は弁護士にご相談を

もし自分の著作物を他人に盗用されたら、著作権侵害の成否を検討したうえで、侵害者に対する差止請求や損害賠償請求などを行いましょう。
著作権侵害に関する検討にあたっては、法的な観点から詳細な分析が必要となるため、弁護士に依頼することをおすすめします。

弁護士であれば、侵害者との示談交渉や、訴訟を通じた差止請求・損害賠償請求などについて、一括して代理することができます。
法律上の要件や手続きなどに沿った正確な対応ができるほか、自身で対応する労力や時間が省ける点が、弁護士に依頼することの大きなメリットです。

「自分の著作物に似ている作品が無断で公開されているのを発見した」といった場合には、著作権侵害に関する検討を行うため、お早めに弁護士までご連絡ください

4、著作権侵害に関する最近の裁判例

以下では、著作権侵害に関する最近の裁判例を2つご紹介します。

  1. (1)小説同人誌裏表紙事件(東京地裁平成30年3月29日判決)

    原告が、自ら著作権を有する写真素材(男性がコーヒーカップを持ってほほ笑んでいる写真)を、被告が無断でイラスト化して小説同人誌の裏表紙に掲載・販売した行為について、翻案権等の侵害を主張した事案です。

    「翻案」とは、以下の要件を満たす行為を意味します(最高裁平成13年6月28日判決(江差追分事件))。

    ① 既存の著作物に依拠し、
    ② その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、
    ③ 具体的表現に修正・増減・変更等を加えて、新たに思想または感情を創作的に表現することにより、
    ④ 既存の著作物の表現上の本質的な特徴を、直接感得することのできる別の著作物を創作する行為


    東京地裁は、上記最高裁判決の規範を引用したうえで、写真素材の本質的な特徴は以下の総合的な表現に認められるとしました。

    • 被写体の配置、構図
    • 被写体と光線の関係
    • 色彩の配合
    • 被写体と背景のコントラスト
    など


    そのうえで、「写真素材とイラストは被写体の配置・構図などについて共通部分を有するもしているが、イラストでは写真の被写体と光線の関係・色彩の配合・被写体と背景のコントラストなどが表現されていない」ということが指摘されました。

    上記をふまえたうえで、東京地裁は「イラストは写真素材の表現上の本質的な特徴を直接感得させるものとはいえない」という結論を出して、翻案権侵害等を主張する原告の請求を棄却したのです

  2. (2)フラダンス事件(大阪地裁平成30年9月20日判決)

    フラダンス指導者である原告は、過去に契約関係にあったフラダンス教室の運営会社である被告が、原告の制作したフラダンスの振り付けを上演したことについて、上演の差し止めなどを請求しました。

    大阪地裁は、フラダンスの振り付けについて「ハンドモーションとステップの組み合わせや舞踊としての流れ全体において作者の個性が表れている場合には、著作物性が認められる」と判断しました。
    そして、大阪地裁は本件におけるフラダンスの振り付けの著作物性を認めて、原告の差止請求を認容したのです

5、まとめ

自分の著作物について著作権侵害を受けた場合には、差止請求や損害賠償請求を行うことができます。
著作権侵害の成否について適切に検討を行って、侵害者に対して権利侵害を主張するためには、弁護士に依頼することが最善です

ベリーベスト法律事務所は、著作権侵害に関する法律相談を、随時受け付けております。
ご自身の著作物に対する著作権侵害を発見された方は、まずはベリーベスト法律事務所へご連絡ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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