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管理監督者と管理職の違い|それぞれの特徴と共通点、裁判事例を解説

2022年10月31日
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管理監督者と管理職の違い|それぞれの特徴と共通点、裁判事例を解説

首都圏から100km圏内の沼津市は、古くから工場や小売店などが集積し、静岡県東部の経済の中心地です。第二次産業や第三次産業の割合も高い地域であるため、大手企業の工場や地域のスーパーなどで働いている方も多いでしょう。

勤続年数が長くなったりスキルが向上したりした労働者には、勤務先から「管理職」への昇進を提案されることがあります。提案に応じる場合には、昇進する立場が「管理職」であるのか「管理監督者」であるのか、きちんと確認しておくことが大切です。

二つの立場の違いを理解しないまま、安易に勤務先からの提案を受け入れてしまうと、残業代が支給されず、手取りが減ってしまうことがあるためです。本コラムでは、管理職と管理監督者の違いについて、ベリーベスト法律事務所 沼津オフィスの弁護士が解説します。

1、管理監督者と管理職の違い

まず、「管理監督者」と「管理職」の違いについて解説します。

  1. (1)管理職とは

    「管理職」には明確な定義がなく、どのような立場を管理者とするかは、個々の企業が決定します。管理職として、「部長」や「マネジャー」などの肩書が付され、業務の進捗(しんちょく)管理、部署メンバーの労務管理や育成、人事評価、経営への参画などを担うことが多い立場です。

  2. (2)管理監督者とは

    「管理監督者」は、労働基準法第41条2項で以下のように定義されています。

    事業の種類にかかわらず、監督もしくは管理の地位にある者、または機密の事務を取り扱う者


    一般的には、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者が「管理監督者」となります。

  3. (3)「管理職=管理監督者」ではない

    管理職はあくまで個々の企業内で設定するものであり、法律で規定されている管理監督者とは必ずしも一致しません

    基本的には管理職のほうの範囲が広く、そのなかに管理監督者が含まれています。
    したがって、会社から「あなたは管理職である」と主張されたとしても、管理監督者には該当しない可能性があるのです。

    管理監督者であるかどうかは、「部長」や「マネジャー」といった肩書ではなく、あくまで職務内容などの実態に即して判断されます。会社の判断で、管理監督者かどうか変わることはありません。

2、管理監督者該当性の考慮要素

法律上の「管理監督者」にあたるかどうかは、「職務内容」「責任と権限」「勤務態様」「待遇」といった要素を考慮して判断されます。

  1. (1)職務内容

    「会社の経営方針の決定過程に実質的に関与している」、「部署全体を統括している」といった場合、労働時間等の規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務を担っているとして、管理監督者といいうるでしょう。

    他方で、会社の経営会議に出席していても、ほとんど影響力がない場合や、部署の統括者の補佐にすぎない場合には、管理監督者とはいえないでしょう

  2. (2)責任と権限

    「会社の重要事項について決済権限を持っている」「社員の採用や解雇の判断を左右できる」「予算の決定権限がある」といった場合、経営者から重要な責任と権限を委ねられているといえ、管理監督者といいうるでしょう。

    他方で、単に採用面接を担当しただけであったり、人事上の意見を述べる機会が与えられるだけであったりすると、管理監督者とはいえないでしょう

  3. (3)勤務態様

    経営者と一体的な立場にある者は、時を選ばず経営上の判断や対応が要請され、労働時間の規制になじみません。
    そのため、「会社側に厳格に労働時間を管理されているかどうか」という点も、管理監督者に当たるかどうかを判断する大事な要素です

  4. (4)待遇

    経営者と一体的な立場にある者といえども、一般の労働者と同じ待遇の場合にまで、労働時間等に関する規定の適用除外が認められれば、当該労働者の保護に欠けます。そのため、管理監督者といえるためには、一般の労働者と比較してその地位と権限にふさわしい賃金が与えられていることが必要とされています

3、管理監督者には残業代が出ない

労働基準法第41条では、管理監督者について「労働時間・休日・休憩に関する定めが適用されない」としています。

一般労働者は、法定労働時間である「1日8時間、週40時間」(労基法第32条)を超えて働いた部分については、時間外労働手当(割増率25%)が支給されます。
また、休日出勤をした場合にも、休日労働手当(割増率35%)が発生します。

管理監督者はこれらの規定の対象外であるため、原則として時間外労働手当や休日労働手当は受け取れません
会社が管理監督者に時間外労働手当や休日労働手当を払わなくても、違法ではないのです。
また、管理監督者は休憩も自分の裁量で適宜取ることになるため、法律で定められた休憩時間である「労働時間が6時間を超える場合には少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間」(労基法第32条)も適用対象外となります。

なお、割増賃金のうち、管理監督者が対象外となるのは、あくまで時間外労働手当と休日労働手当だけであり、深夜労働手当(割増率25%)については、管理監督者も対象になります
管理監督者が深夜(22時~翌朝5時)に働いた場合には、深夜労働手当を受け取れます。

4、「名ばかり管理職」に注意しよう

管理監督者か否かは、上記の4つの要素を考慮して判断されます。
「部長」「課長」などの肩書であっても、管理監督者とはいえず、いわゆる「名ばかり管理職」に当たる可能性があります
名ばかり管理職として、以下のような立場にいる労働者が考えられます。

  • 本社からの指示に従って作業しているだけで、業務の決定権がない
  • 社員の面接は担当するが、採用の可否を決定するのは社長
  • タイムカードで会社に労働時間を厳しく管理されている
  • ほかの従業員と給料がほとんど変わらない


管理監督者については、残業代や休日出勤手当は発生しません。
そのため、従業員の給与や手当を変えずに肩書だけを管理職にして、管理監督者ではないのに、管理監督者として扱い、人件費を抑えようとする悪質なケースも多発しているのです。

会社から管理職への昇進を提案されて受け入れたところ、仕事内容も権限や待遇も変わらず、責任だけを都合よく押し付けられて、給与の手取り金額は増えるどころか減ってしまう、という事態もあります。

会社が労働者を名ばかり管理職の立場に置くことは違法な措置であるため、そのような立場を提案された場合には、黙って受け入れずに、拒否するようにしましょう

5、管理監督者に関するトラブルの事例

管理監督者をめぐっては、上述したような「名ばかり管理職」が特に問題になりやすい傾向があります。
以下では、名ばかり管理職に関する2つの判例を紹介します

  1. (1)マクドナルド事件

    名ばかり管理職をめぐる裁判で、日本で最も有名といえるのが「マクドナルド事件」です。

    過去、ファーストーフードチェーンの「マクドナルド」では、店長を労基法上の管理監督者として扱っており、残業代も支給していませんでした。
    その状況に対して、ある店舗の店長が「名ばかり管理職だ」と主張して、未払い残業代の支給などを求めたのです。

    平成20年の裁判の判決では「一定の労務管理を担うなどしていたものの、企業全体の経営方針に店長は関与できず、経営者と一体とはいえない」「勤務体制上、長時間労働を強いられていて、自らの労働時間の裁量権がなかった」などの点から、名ばかり管理職だったと認定して、マクドナルド本社に残業代の支払いを命じました。

  2. (2)育英舎事件

    学習塾を経営する育英舎の営業課長が、管理監督者として扱われていたが、実態は名ばかり管理職だったとして未払い残業代を請求した事件です。

    平成14年の裁判の判決では「タイムカード打刻が求められ、勤怠管理について他の従業員と同じく扱われていた」「給与はほかの従業員とあまり変わらなかった」などの点から管理監督者性を否定して、残業代の支払いを命じました。

6、まとめ

「管理監督者」に該当するかどうかは、肩書ではなく実態から判断されます。
会社側が「管理職だから残業代は出ない」などと主張してきても、職務内容や待遇面でほかの社員と差がないような場合には管理監督者とはいえず、未払い残業代が発生している可能性があります

労働者である自分の立場が名ばかり管理職である可能性があるとき、未払い残業代を請求する場合には、会社との交渉や法的な対応が必要になります。
残業代請求には時効があるため、早めの対応が欠かせません
ベリーベスト法律事務所にご連絡いただければ、弁護士が迅速にサポートいたします。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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