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「仕事中の事故で発生した損害を賠償しろ」と会社に言われた場合の対処法

2023年07月11日
  • その他
  • 仕事中の事故
  • 自己負担
「仕事中の事故で発生した損害を賠償しろ」と会社に言われた場合の対処法

営業などの用務で社用車を運転されている方のなかには、仕事中に事故を起こしてしまい、社用車に傷をつけてしまったという経験のある方もおられるでしょう。

ときには、会社側が「車の修理代などの損害を賠償しろ」と主張する場合もあります。しかし、労働者のミスによって会社に何らかの損害が発生したとしても、全額の賠償まで認められるケースはまれです。

そのため、会社から全額の賠償を求められたとしても、すぐに支払ったり書類にサインをしたりするのではなく、自分にどれだけの賠償責任があるかを冷静に判断したうえで適切な対応を実践することが重要になります。

本コラムでは、仕事中の事故で発生した損害の賠償を会社から請求された場合の対処法などについて、ベリーベスト法律事務所 沼津オフィスの弁護士が解説します。

1、仕事中の事故でも個人の責任になる?

まず、仕事中に発生した事故について労働者個人が負う責任について、基本的な考え方を解説します。

  1. (1)仕事中の事故で労働者個人に責任が生じるケース

    労働者が業務中に労働契約上の義務を守らず、その結果として会社に損害を与えた場合には、労働契約上の債務不履行にあたります。
    そのため、労働者が損害賠償義務を負う場合はあります(民法415条)。
    また、労働者が仕事中に自動車事故などを起こし、会社に損害を与えた場合にも、不法行為にあたるため、労働者が損害賠償義務を負うことがあるのです(民法709条)

    労働者個人にも責任が生じる場合の具体的な事例としては、以下のようなものが挙げられます。

    • 勤務中に社用車を運転して歩行者をはねてしまった
    • 社用車を倉庫にぶつけて傷をつけてしまった
    • 高価な機材を誤って落として壊してしまった
  2. (2)労働者個人の賠償責任は制限される

    上記のように、債務不履行や不法行為にあたる場合には、労働者には会社や第三者に対して生じた損害を賠償する責任があります。
    しかし、仕事中の事故やミスについては、すべてが労働者だけの責任というわけではありません。
    会社は労働者を使用することによって利益を得ているため、労働者の業務中に生じるリスクについて、会社が負担するのが公平だと考えられます
    このような考え方は「報償責任の原理」といいます。

    報償責任の原理により、労働者の過失によって生じた事故であったとしても、労働者が個人で負う責任はある程度まで制限されるのです。

2、会社から修理代は自己負担しろと言われたとき確認すべきこと

仕事中の事故で発生した損害について会社から自己負担するよう求められた場合には、以下の点を確認しましょう。

  1. (1)事故が起きた時間や原因

    業務時間外に会社の許可なく私的に社用車を利用して事故を起こしてしまった場合には、基本的には、労働者個人がすべての責任を負わなければなりません。
    しかし、業務時間内に取引先への移動中などに事故を起こしてしまった場合には、業務に内在する危険が現実化したといえますので、会社にも責任が生じます。

    このように、事故が起きた時間や原因によって、労働者が個人で負うべき責任の範囲が異なってきますので、まずはその点を確認しましょう

  2. (2)事故により会社に生じた損害の金額

    会社から社用車の修理代を請求された場合には、会社が請求する金額が妥当な金額であるかを確認する必要があります。
    具体的には、修理会社から提示された見積書などの提示を求めるとよいでしょう。
    当該事故の修理のついでにその事故と関係のない不具合の修理も一緒に行われていることがあるため、その点などを意識しながら、注意深く見積書を確認しましょう

    また、会社が加入している任意保険から保険金が支払われることもあるため、保険会社への確認も行ってください。

  3. (3)労働者側の過失の程度・内容

    会社からの損害賠償請求に対して労働者がどの程度の責任を負うのかは、労働者側の過失の程度や内容によっても異なってきます

    たとえば、社用車が損傷したとしても、信号待ちなど適切に停止しているときに追突されたのであれば、労働者個人には過失はないため、労働者個人は責任を負うことはありません。
    また、居眠り運転で事故をしたとしても、日々の長時間労働が原因であった場合には、会社にも落ち度があるといえ、会社による損害賠償請求は一定の制限を受けることになります。

  4. (4)全額弁償なのか一部弁償なのか

    会社から請求されている賠償額が全額の賠償なのか、一部の賠償なのかについても確認しましょう。

    全額の賠償が認められるケースは、労働者が故意に会社に損害を与えたような悪質なケースに限られます。
    したがって、自分に落ち度がないという自覚があるなら、全額の賠償を求められた場合に支払いを拒否できる可能性があるといえます
    また、一部の賠償を求められた場合でも、労働者側の落ち度に比して妥当な金額であるかどうかという点を細かく検討すべきです。

  5. (5)給料からの天引きか否か

    労働基準法では、給料の全額払いの原則が定められています。
    そのため、労働者が損害賠償をしなければならない場合であっても、給料からの天引きは認められません。

    したがって、給料から損害額が天引きされている場合には、会社に抗議する必要があるのです

  6. (6)就業規則の定め

    会社の就業規則には、「会社に損害を与えたときは違約金として○万円を支払う」などと規定されている場合があります。
    しかし、このような規定は、労働基準法16条に反しているため無効になります。

    したがって、会社が就業規則の違約金規定に基づいてお金を要求してきた場合にも、労働基準法違反を理由として拒むことができるのです

3、会社が提示する書類へすぐにサインすべきではない理由

会社から書類にサインを求められたとしても、すぐに応じてはいけません。

  1. (1)責任割合を争うことができなくなる

    会社から「労働者がすべての賠償金を支払うことを認める」という旨の内容の書面が提示され、それにサインをしてしまうと、労働者が全額の賠償義務を認めたことになります。
    すでに当事者間での合意が成立している場合には、報償責任の原理に基づく損害賠償額の制限よりも、当事者間の合意が優先されてしまうため、不当と思われる内容であったとしても、それを争うことができなくなるリスクがあるのです。

    会社から書類へのサインを求められた場合には、内容をよく確認してからサインするようにしましょう
    また、内容について自分で判断できない場合には、すぐにサインするのではなく、まずは弁護士などの専門家に相談してください。

  2. (2)不当解雇を争うことができなくなる

    仕事中の事故によって会社に損害を与えた場合には、そのことを理由に会社から解雇されるケースもあります。
    しかし、会社が労働者を解雇するためには、労働契約法が定める厳格な要件を満たさなければなりません。
    仕事中に事故を起こしたというだけでは、解雇が認められない可能性が高いのです。

    このような場合には、不当解雇を主張されるリスクを回避するために、会社が労働者に対して「退職合意書」という書面を提示してサインを求めてくるケースもあります。
    退職合意書にサインをしてしまうと、解雇ではなく合意退職として扱われてしまいますので、後日、不当解雇であるとして解雇の有効性を争うことが困難になります。
    したがって、退職合意書を提示されても、退職に納得していないのであれば決してサインしてはいけません

4、弁護士に相談すべきケース

仕事中に発生した事故について会社から損害賠償を請求されたら、弁護士に相談してください。

  1. (1)会社から提示された賠償額に納得できないケース

    仕事中に事故を起こして会社に損害を与えてしまった場合、労働者自身にも事故を起こした原因がある場合には賠償責任が生じますが、損害のすべてを賠償しなければならないケースはまれです。

    会社から提示された賠償額が事故によって生じた損害額の全額であったような場合や、一部であっても責任割合に納得がいかない場合には、弁護士に相談してください
    弁護士であれば、事故の具体的な状況などから、労働者が負うべき責任の適切な程度を示すことができます。そのため、不当に高額な賠償責任を負わされた場合にも、請求が不当であることを指摘したうえで適切な賠償金額を算出することができるのです。

  2. (2)話し合いをしても会社が応じてくれないケース

    会社から提示された賠償額に納得できない場合には、会社との交渉によって、適切な範囲の賠償額に下げるように求めていくことになります。
    しかし、労働者個人で交渉を行おうとしても、会社が誠実に応じてくれない可能性があります。

    弁護士に依頼すれば、会社との交渉を代行させることができます
    もし会社が任意的に交渉に応じてくれない場合であっても、労働審判や裁判などの法的手段の手続きについて、弁護士に依頼することが可能です。

  3. (3)仕事中の事故を理由に解雇を告げられたケース

    会社が労働者を解雇するには厳格な要件をクリアしなければならず、労働者が仕事中に事故を起こしたという理由だけでは、解雇が認められない可能性が高いといえます。

    もし、会社から解雇を告げられたら、解雇の有効性を判断するため、弁護士に依頼しましょう。
    また、不当解雇であった場合には、解雇の撤回や不当解雇日以降の未払い賃金の請求なども弁護士に依頼することができます

5、まとめ

仕事中の交通事故によって社用車などを損壊してしまったとき、会社から修理費の負担を求められることがあります。
適切な範囲の賠償であれば応じる必要もありますが、もし全額の賠償や過大な賠償を請求された場合には、不当な請求である可能性が高いといえます。
弁護士に相談して、適切な損害賠償の範囲を割り出したうえで、会社側との交渉などの対処を行っていきましょう。

会社から損害賠償を請求されてお困りの方は、ベリーベスト法律事務所まで、お気軽にご連絡ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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